電信柱

冬。

澄み切った山々を見ると、返す返す電信柱が風景を損ねている、と思うことがあります。

画竜点睛を欠く、と思うのです。

わたくしとしては、かなり田舎のほうに暮らしているつもりなのですが、自然と(しかし、不自然に)電信柱がいくつも立っています。

地中に埋めるといくらか料金が割増しになってしまうそうなのですが、山だけでなく、風景全体を見た時に「ああ、これさえなければなぁ」と、思うのです。

花鳥風月が急速に失われていく中で、電気を信じる柱が多く立ち並んでいるのは、なにかの比喩なのか。

わかりかねますが、あの円柱から伸びている無数の配線を見ると、たまらなく淋しくなる時があるのです。