ショートショート

一本のショートショートを書き上げるまでにかかる時間は、だいたい四時間でしょうか。

実際に書いている時間は二時間や長くて三時間なのですが、助走の時間が必要なのか、最初の三十分を使って、椅子に座り、話を書き始めます。

わたくしも、大変時間をかけて椅子に座るものだ、といつも思っております。

よく社会人の方が「五分前出勤」というのをするそうですが、それに似た感覚なのでしょうか。

例え時間通りに来ることができたとしても、なにかあるといけないから少し前に出勤する。

わたくしの三十分かけて椅子に座るのもこれに似ているのだ、とこの奇妙な現象にそれらしく理由をつけるのでございます。

ただ、椅子に座ってしまえば、出だしを考え、それらしく話をまとめ、サゲの一文を思いつき、ここまで来てしまえば、あとは二時間かけて(出来不出来はともかく)一本の話を書き上げるだけです。

その出来上がった文を見て、うなずいてみたり首をひねったりしてみて、数日寝かせて、再度見直し、完成、という流れ。

字で書いてみると簡単ですが、意外と体力を使う作業なので、多くても週に一本しか書きませんし、書くと決めた日は書くこと以外なにも予定を入れません。

書くことにはすっかり無沙汰だったのですが、最近また書けるようになってきました。

書けるだけの時間と体力が戻ってきたからです。

このまま続いてほしいなぁ、と思いつつ夜半に嵐の吹かぬものかは、の歌のように、なかなか思うままにはゆかぬだろうなぁ、と思っております。