精神科に通院していると、時々驚くほど待たされることがあります。
予約していても、です。
その原因の多くは、患者さんの長話にあります。
どうでもいい話です。
「花粉がすごい」や「最近膝の調子が悪い」「薬を飲むと食欲が増える」などなど。
言葉にすればたったそれだけのことを、とてつもない長さで(しかも大声で)話すのです。
だからこそ、精神科に通院しているのかもしれませんが。
三分診察というものもありますが、そうしたくなる気持ちもわからなくもありません。
あれだけ意味のないことを延々と話されたら「さっさと打ち切ってしまおう」となるのも無理からぬところです。
確かに悪徳な精神科医がいるのも事実です。特に話も聞かず、薬だけ処方するのは患者に寄り添っているとは言えないでしょう。
しかし、悪徳な精神科医と、くだらない話を延々と大声で話す患者、どちらが多いかと言えば、後者な気がしてならないのです。
それは政治であれ、スポーツであれ、レストランであれ変わらないと思っています。
悪徳な政治家より、堕落しきった市民。紳士的でないスポーツ選手より、野次ばかり飛ばすファン。衛生管理のなってない店より、陰湿なクレーマー。
どこも似たようなものなのでしょう。
なにはともあれ、無意味な長話は止めてほしいものです。特に体調が悪くても薬をもらわなくてはならない日は。
いえ、あれは実は意味があるのかもしれません。あの意味のない話を延々と繰り返していくうちに、それが不思議と意味を持って、まるで詩のようなハーモニーを奏で始めて、その人の体調が改善する……。
時としてこんなくだらないことを考えられるくらい、精神科の待ち時間は、長いのです。