王将戦

先日(といっても、調べればわかってしまうのですが王将戦の第二局の大盤解説会に行ってきました。

抽選の結果、一日目だけ参加できることになり「今日来られた方は三倍の倍率を勝ち抜かれた方なのですよ」と、解説者の先生にいわれました。

わたくしも大盤解説会には何度も足を運んでいますが、抽選になったことは初めてで、藤井ブームを改めて肌で感じることになりました。

昔の(といってもコロナ前の)大盤解説会といえば、少し言葉は悪いですが些か雑で、いつだったかの王将戦でも「事前に電話が必要」と募集要項に書いてありながら、いざ現地へ行ってみるとなんの準備もされておらず、ただお金を払えば解説会場へ入れてもらえるという、昭和の空気といえば聞こえの良いものですが、一寸学園祭のような雰囲気でした。

しかし今回は、それなり(それなりと書いたのはまだまだセキュリティの面で目に余るところがあるということ。アイドルマスターのライブのように厳重ではない)に改善がなされており「将棋界もよくなった」と目を細めながら一緒に来た母にいうと「解説している棋士の方が襲撃された時のことは考えてないようだ」といわれ「これでもよくなったほうですよ」とフォローのようなそうでないようなことをいいました。

8二金と羽生先生が打たれました。

会場がその日一番のどよめきに包まれました。

この金打ちに羽生先生のこの王将戦にかける熱量がありありと伝わってきて、少し涙目になりました。着手も早く、どれだけこの形を研究して第二局に臨まれたのか、なにもわかりませんが、なにもかもわかったような気が致しました。

濃い時間でした。得難い時間でした。

香車一本分強くなって自宅へ帰り、翌日羽生先生が勝たれたのを知って「わたくしも頑張らなければ」などと月並みな感想を抱きつつ、気がつけばまた少し涙目になっていました。