映し鏡

1995年は「インターネット元年」と呼ばれています。

また、1993年には「ID野球」を提唱した野村克也監督がヤクルトを日本一に導きました。

同年は米長邦雄九段(当時)が、七度目の挑戦にして初めての名人獲得に成功しています。

何がいいたいかというと、平成の一桁の頃、プロで最先端だったことが、令和の今、市井のわたくしたちにとって、当たり前のことになっているということです。

いま、スマホなしで生きていくことはできないでしょう。

野球も、あらゆるものがデータ化され、可視化され、それらを基準に戦術を練ることが常識になりました。

米長先生は、いまでいう「アンラーニング」を取り入れ、それまでの得意戦法を捨て去り、若手に教えを請い、鍛え、そして名人獲得に成功しました。

となれば、今プロが最先端で行っていることも、20年から30年後には、一般市民に広く浸透しているのではないでしょうか。

2023年は(2016年という説もあるようですが)「AI元年」と呼ばれています。

また、野球は大リーグへの挑戦が目覚ましく、野茂選手、イチロー選手に始まり、大谷選手などはその代表例といっていいでしょう。

将棋の世界もAIを取り入れた様々な研究がなされていて、評価値の導入やコンピュータを使った定跡研究が当たり前になりました。

これらが、遠くない将来、わたくしたちの身の回りに浸透するような気がしてならないのです。

20年から30年といいましたが、わたくしとしては、もっと早くても不思議はないと思っております。

テクノロジーの進歩は、指数関数的な要素がありますので、昔は30年で浸透したものが、今は15年で浸透すると考えているのです。

とすれば、2017年に大谷選手が大リーグへ挑戦し、同年には佐藤天彦名人(当時)が電王戦でponanzaに敗れています。

少し話が脇へ逸れますが、2016年には星新一賞に一部AIを使った作品が1次審査を通過しました。

ですので、2016年か2017年を元年とし、それから15~20年後に、わたくしたちの生活に浸透していると考えるのが、妥当な気がいたします。

2030年代くらいになるでしょうか。

この頃には、世界へ働きに行くことが当たり前になり、AIを駆使して日常生活をクリエイトしているのでしょう。

プロは20~30年後の映し鏡。

歴史を振り返ると、わたくしにはそう思えてならないのです。