ブルーカラー

飲食はブルーカラーだ。

妾の短期目標の期間は、だいたい一週間になっている。

それ以上は、立てても意味がないのだ。

土曜の仕込みを、月曜にやっても仕方がないように、その日暮らしとまではいかないが、近いところで仕事をしているのが飲食という仕事だ。

ホワイトカラーで短期目標といえば、だいたい一カ月から三カ月だろうから、ブルーカラーは近視眼的な、刹那的な仕事、ホワイトカラーは中長期的なビジョンを持った仕事といえる。

ただ、人間も動物なので、本来はブルーカラーが一番やりやすいのだろう。

その日その日を、まずまず暮らしていけば、動物として種の保存という目標を達成するのは容易だ。

昔の人間も同様のやり方でよかったのだが、今の人間という生き物は、中長期的なビジョンを持たないと、種の保存が難しくなる。

ただ、今日のことだけを考えるのではなく、明日、一週間、一か月、一年、ひょっとすると十年を見据えて、今の行動を選択しないと、生存することは難しい。

簡単に、平たくいえば、仕事に就けないのだ。

だから、中長期的なビジョンを持つことは大切なのだが、中長期的なビジョンはそれなりの知能がないと持つことができない。

体感ではIQ105程度だろうか。

つまり、多くの人間は中長期的なビジョンを持つことができないのだ。

だから人よもっと賢くなれ、といったところで効果はないし、だとすれば、中長期的なビジョンを持たなくても、まあそれなりに暮らしていける社会を目指したほうがいいような気がする。

そのために、もっとブルーカラーの仕事を増やしたらどうだろうか。

刹那的な、近視眼的な仕事ばかりさせて、それでいて社会としての調和が保てれば、それでいいような気がする。

それを、AIが生み出してくれると思っているのだがどうなのだろう。

AIがホワイトカラーの仕事をほとんど奪ってくれているので、遠くない将来、以前のようなブルーカラーの仕事しかない社会になるかもしれない。

そんな社会は意外と争いもなく、平穏で、落ち着いていて。

結構幸福度の高い社会になると思っている。