○○力

決断力直観力注意力行動力etc.

これら「○○力」と付いたものを持っていない人間が、普通の人間なのではなかろうか。

決断もしなければ直感も働かず、注意力は散漫で行動力に欠ける。

ここまでくるとバカといいたくなるが、普通の人間とバカは同義なのかもしれない。

そんなバカに「決断せよ」「注意せよ」といったところでできない相談なのだから、そっとしておいてやったほうがいいのか。

ただ、そんなバカにもなにかしたいことがあるように思う。

バカは「きちんと」とか「しっかり」とか、赤ん坊が泣き叫ぶようにこれらの言葉を連呼してくるのだから、なにかしたいことがあるはずだ。

では、バカはいったいなにを望んでいるのだろう。

妾もいろいろと考えてみたのだが、それはきっと「なにもしない」ことなのだ。

なにもせず、あらゆることが上手くいけば、こんなに素晴らしいことはない。

ただ、この「上手くいく」というところが、厄介になってくる。

なにもせず上手くいったとして、バカは「上手くいっている」と認識することは可能なのだろうか。

おそらく、観察力や思考力がないだろうに。

もしかすると、バカは上手くいくことすら望んでいないのかもしれない。

それは「なにもしない」に反するから。

上手くいくためには、必ず行動、或いは行動力が必要になってくるから。

望みややりたいことさえ捨て去ったこの「バカ」という生き物は、いったいなんなのだろうか。

ひょっとすると「バカ」は宇宙人のような別の生命体なのではないだろうかとさえ思えてくる。

そんなバカを人間の「科学」に当てはめようとするのは、差別なのかもしれない。

そうとなれば、まずは相手を理解することから始めよう。

理解しようとすることさえ、別の生命体にしてみれば大きなお世話なのかもしれないが、人間という好奇心の塊は、そんな面白そうな生命体に、興味津々なのである。