円安

円安が32年ぶりの水準に来たそうだ。

巷では所謂「悪い円安」と呼ばれているこの円安だが、32年前に日本でなにがあったのか誰も彼も忘れてしまったのだろうか。

32年前、日本はバブル絶頂期にあった。

「お立ち台」が紙面を賑わせ「失われた三十年」の原点ともいえる。

そんな「失われた三十年」に円安だけでも辿り着いたのだから、少しは取り上げてくれればよさそうなものだが。

いろいろ報道を見ていると、各社どんな日本経済がいいのかが、あまり見えてこない。

やれ円高はいかん、円安はいかん。株安はいかん、行き過ぎた株高はいかん。

「じゃあ、なにがいいんだ」といいたくなる。

まあ、円安を悪者に見立ててとやかくいいたいのだろう。そして、この「悪い円安」を撃退すれば日本は良くなる、と安直に考えていそうだ。

来年は、日銀の黒田総裁の任期だし、新しい総裁が「悪い円安」を撃退しにかかるかもしれない。手っ取り早く人気を得たければ、これが一番だ。

そして「悪い円安」を撃退しても、日本経済は良くならず、また誰も彼も犯人探しに戻って行く。

円安円高を改善したくらいで国家の経済がよくなるなら「経済学者」などという仰々しい肩書を持った人間がたくさんいるはずはない、というロジックがわからないのだろうか。

そんなことを考えながら、各社の安直な円安報道を見て、まだまだ日本全体はよくならなさそうだとため息をついている。