食事

妾は食事という行為が嫌いだ。

水分補給はともかく、ただ固形物を摂取するだけで、毎日三食三十分以上取られるのは腹立たしくて仕方ない。

薬のように、タブレット型で朝昼晩三食三錠ずつ飲めば食事を一度もとらなくていい、とかにしてくれればいいのに。

かかりつけの医師と相談して、栄養バランスを計算し、月に一回の診察で経過観察をし、異常があればまたなんらかの薬を処方してもらう。

これは面倒だが、大切なことで、妾も睡眠薬を飲んでいるが、今の形に落ち着くまで四年かかった。

なにがどれくらい必要なのかは個人差が大きいし、仕事や環境などでも全く違ってくる。

クレイグフラットマンという人は十数年ジャムパンだけを食べて暮らしたそうだ。

人体の不思議である。

なぜこういう食事体系にしないのだろうか。

三食三錠の形になれば、一日の中で自由な時間がかなり増えるし、毎日献立を考える必要もない。

その分、自分の好きなことに時間をさけるし、無用なストレスから解放される。

画期的なアイディアだ、と思ったが、食品業界は大打撃間違いなしだ。

「これだけは勘弁してくれ」といってくるかもしれない。

まあ、これが広く浸透してしまうと、すべての食品の売り上げは半減以下になりそうだから。

ただ、今のテクノロジーをもってすれば、開発は可能だろう。

妾が生きている間に、お目にかかれるかもしれない。

家族団らんな食事は(もう過去のものになっているかもしれないが)過去のものになるかもしれない。